通直と四方柾


表現、デザイン、素材の個性などにより、絶対的な価値観があるわけではないと思うが、大雑把な言い方をすると、基本的に木目は形状に沿っていた方がよい。これは「素材と形の調和がもたらす美しさ」という観点だけではなく、家具自体の耐久性や機能性にかかわる問題でもある。
まず、木目が通直ということは木材の繊維が途切れない事を意味し、部材の強度が高くなる。
角材の場合、目が通っていることに加えて、「四方柾(しほうまさ)」に近いほど一般的に湿度変化による木材の変形も小さく、これは家具としての精度にかかわることになる。四方柾とは角材の断面において年輪が四辺に対して45°前後に通る状態を言い、その結果四面が柾に近い木目を表す。
通直と四方柾に近づけるためには、多くの場合、基準となる面を決めなおす必要が生じる。

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上の写真で元の木材の右端の辺に対し斜めに切りだしているのは、なるべく木目が通直になる様に基準面を決めなおすため。こうして取れた3本の角材の内、一番右のものが最も四方柾に近い。



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たとえば左のような材をより四方柾に近くするためには、鉋で斜めに削り出し、基準面を決めなおす。すると木目が右のように変わる。



基準面を取りなおすことにより木目が変わった顕著な例をもう一つ。左は元の木材の表面に現れていた木目。

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木取り作業は見方によれば本格的な加工に入るまでの準備段階。しかし現実の木材は節も割れも曲がりも捻じれも有しているもの。その個々の素材に対峙し、適材を削りだすという作業には未だに想像以上の時間がかかってしまう。捨てる部分も多くなる。
はやる気持ちを抑え、素材を生かすとはどういうことなのか、自問しつづける。



by tass-blog | 2010-01-17 10:40 | 家具 | Comments(0)
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