昨秋のおはなし

久しぶりに散歩に出てみると、椿の花が落ちていて、おまけに鶯まで啼いていた。
初めての確定申告の責務からひとまず解き放たれたこともあるが、せっかくこう明快に春めいているのだからブログも冬眠から覚ましましょう。

といっても話題は昨秋のこと。
居座る残暑と着実に刻まれる暦にはさまれ、あの秋は窮屈だったに違いない。それは何も気候のせいばかりではなくて、その間ぼくは、草木の冬支度に心を留める暇もなく、工房にこもって木材が家具になっていく様を凝視していたのである。

原宿にある雑貨店CINQさんが吉祥寺に新店舗を開くにあたり、その什器の製作を依頼されたのは、未だうっすらと暑気がこびりついた10月のあたまだった。
レジ台とそれと一体になったショーケース、レジ後ろの収納戸棚、そして両壁面の陳列棚。それがtass家具工房の本格的な初仕事となった。

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CINQの皆様にご迷惑を掛け、友人たちに手助けを請い、家族に負担を強いて、かくして作業はオープニングパーティー当日までに及んだ。
多大なご心配をお掛けしたものの、できあがった家具自体にはご満足いただけたのではないかと思う。

おいしいパンにパテにピクルス、シンプルで骨太な欧風おつまみを一家4人で堪能させていただき、パーティー会場を後にする。笑顔で見送ってくださるCINQの保里さんご夫妻。その背後で、静まった宵の小さな通りのなか、新しいお店はひときわ光っていた。
駐車場へ向かう路地を曲がったとき、落ち葉ががからからと走る音が耳に届いた。

# by tass-blog | 2008-03-17 23:25 | 家具 | Comments(0)

織りこ

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ベットサイドに敷く裂き織りマットを織らせていただいているのですが、風邪で保育園に行けない若い織り子さん達が大活躍していて困っています。でもやっと半分と少し織り上げました。

# by tass-blog | 2007-10-14 21:57 | テキスタイル | Comments(0)

がちょうの目

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裂織マットのプロトタイプ制作にせいを出している。CINQオリジナルとして織らせていただいている裂織マットは平織・綾織の2タイプだったので、素材を同じにして技法だけ変えてみた。まずは大好きなテクニック gåsögon (がちょうの目)。

がちょうの目に見えないこともないけれど、どちらかと言えば花畑のようでゴージャス!な感じのする技法。綺麗な糸で織っても素敵だけれど、厚い裂き織りテープのゴワゴワ感が魅力的に出たので大満足。織機から下ろして端の始末をしてみないと本当のところはわからないけれど、きっとかっこいいマットに仕上がるはず(-_-

# by tass-blog | 2007-09-05 13:11 | テキスタイル | Comments(0)


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夏は嫌いでないけれど、暑さにはからっきし弱い。何しろ汗を浴びるようにかくのである。
帰国後の最大の心配事は日本の夏の蒸し暑さだったのだが、不安は的中した。
妻だって酷暑は苦手だろうけど、汗の量が断然違う。娘たちに至っては、十分に不快であろう程に汗をかいているにもかかわらず、全くめげている様子もなく、泥団子を作り、蝉の死骸を探し回っている。

梅雨の盛りに台風が横切って、劇的な快晴を見せた翌朝、工房内は玉のような水滴でいっぱいだった。まるで機械たちから汗が吹き出たかのようで、定盤には錆まで盛大に湧いてた。見事に修繕され、初々しくペンキまで塗りなおされた中古機械は、数週間前に我が工房に嫁入りして、今や重病人のようだった。「多少の錆は諦めな」と機械屋さんは言ったけど、これではちょっとあんまりだ。
日曜日の午前返上で電機屋とホームセンターへ走り、除湿機と錆取り剤を購入。当時妻の織りの仕事が忙しくて、木工房そっちのけで助手として織り部屋で働いていたから、機械たちに対する後ろめたさもあった。
以来、朝晩、除湿機の5.8リットルタンクに集積された湿気を打ち水代わりに玄関先にまくのが日課となっている。効果を目の当たりにし、勝ち誇るひとときだ。

さて、残暑は続く。部屋で事務仕事などしているときは迷うことなくエアコンのスイッチを入れる。が、いざ工房となると、覚悟を決めねばならない。元々倉庫だったから開口部は小さめだし、屋根は母屋の二階に接続されたベランダになっていて、思う存分太陽熱を吸収する。そこに分厚い作業ズボンのいでたち。
除湿機のお陰で激減した錆被害は今度はぼくによってもたらされる。したたる汗の痕跡は確実に赤茶色に示される。

しかし、木工しているときは、不思議と汗の不快さを忘れてしまっている。泥団子や蝉の死骸のように魅力的なのかもしれない。


# by tass-blog | 2007-08-31 09:38 | 家具 | Comments(0)

経糸づくり


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マットのための経糸づくり。特大チーズ型にまかれた綿糸を2本1組で手に持って、20mの経糸をひたすら巻いて作ってゆきます。


# by tass-blog | 2007-08-28 12:53 | テキスタイル | Comments(0)

家具工房のはじまり


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家具工房をつくることにした。当初希望していた20坪の建物ではなく、酒屋の倉庫8坪。山間の古民家ではなく、工業地帯の国道1号と新幹線にはさまれたつまらない倉庫。自分のための家具工房をつくるため、冬から夏にかけて倉庫に積まれた缶ジュースを運び出し、水洗いしてペンキを塗った。


# by tass-blog | 2007-08-13 21:16 | 家具 | Comments(0)

敷くもの


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マットやテーブルセンターなどの敷くものを織ることが多い。苦手な裁縫をする必要が減るのが一番の理由だけれど、ひらたく真直ぐ置かれた織物には、独特の綺麗さがある。


# by tass-blog | 2007-08-12 22:33 | テキスタイル | Comments(0)