お米


共に東北出身の小山夫妻が、本人たちには縁もない山梨県南部町に移り住んでいたことは、全くの偶然であった。
その後ぼくらがそこから車で小一時間の清水にひとまずの工房を構えることとなり、それこそ縁を感じずにはいられず、以来家族ぐるみで公私ともにお世話になっている。

ご主人である金属工芸家の小山泰之氏に初めてお目にかかったのは、ストックホルムの美術大学Konstfackの構内だった。よく晴れた秋の日だったと思う。留学中の彼を紹介してくれたのは当時同大学に在学していた宮下理世氏と須長檀氏、現在のNATURのオーナー夫妻である。ぼくがストックホルムから北へ車で40分くらいの小さな町でパイプオルガン工房に勤めていた頃だった。
その日ぼくら夫婦が共通に抱いた彼の印象は、「ものづくりに対する気持ちにぶれがなく、多産で実行力のある工芸家」だった。その人物像は今日も変わりない。
斬新で現代的な発想と堅実な工芸技能を礎にした繊細な手仕事から生まれる作品は、緊張感があるのに、彼の人柄が相まって、親しみやすさが感じられる。
今年は例年にも増して個展が目白押しで、益々の活躍が期待されている。イギリスやオーストラリアを中心とした海外での評価も高まってきているようで、ぼくたちも頑張らねばと会うたびに思う。

現在夫妻は古民家を一件借りて、自分たちの手で少しずつ改築を進めている。
それでなくても活発な工芸活動の傍ら時間と費用を捻出するのはただならぬことなのに、その改築計画の内容の濃さと彼らのこだわりの深さがゆえに、完成まであと何年かかることか。
ぼくら自身が帰国前からずっと、正に小山夫妻の様に片田舎で古民家を改築して、生活と工芸活動を一体的に営みたいと願っていることもあり、彼らの歩みは他人事とは思えない。心から声援を送っている。

昨年、夫妻は米づくりもはじめた。自分たちだけでは消費しきれないということで、お言葉に甘えて分けていただいている。
久しぶりに小山宅に足を伸ばしたら、何と今回は30kgも、しかも籾つき。
大事にいただきます。

自宅わきにコンテナを利用して作っている工房も、昨秋訪れた時に比べて進化していて、格好よくなっていた。

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by tass-blog | 2010-02-07 11:37 | 日々 | Comments(0)
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